こちら元町診療所

好きになって欲しい人、自分の意見に
共感して欲しいのなら、歩み寄って
くれるのを待つのではなく、自分が
まず歩み寄らなければいけない‥。
話をするのはそれからだ。


私はもし、大志さんが診療所を辞めて
棗先生と開業すると決めたのなら、
その気持ちを尊重したい。


櫻子さんと結婚となると、また話は違う
けど、大志さんがその人を心から
愛して寄り添いたい気持ちがあるなら、
真剣に話してくだされば悲しいけれど
身を引こうと思う。


『アイツが君を選んだのがなんとなく
 分かったよ‥‥‥。俺達とは違って
 君には執着心もなければ欲もない。
 変わった人だよね‥‥。』


「そんなことないですよ‥‥。
 独り占めしたい気持ちだってなくは
 ないですし。でも大志さんが嫌がる
 ことは絶対したくないです。」


『はぁ‥今からでも間に合うかな。』


「人生で始まるのに早いも遅いも
 ないですよ。大志さんはちゃんと
 思いが伝われば話を聞いてくれる
 はずです。」


棗先生のことは正直まだ苦手だ‥‥。
今後大志さんがどう答えるかは分からないけれど、今日こうして話せて本当に
良かったと思えた‥‥。
 
 
『靖子ちゃんありがとね。』

「いえ、こちらこそです。」

『アイツの母親は手強いよ?』

「でしょうね‥でも私は大志さんの
 お母様と付き合う訳じゃないので、
 今の姿勢は変えません。」

『ハハッ‥それは見ものだな。』


棗先生を見送ると課長がすぐに迎えに来てくれ、家に帰るまで嵐のような尋問が
本当に凄かった‥。


平日は次の日の仕事に差し障るからと
メールくらいはしていたけれど、電話はあまりかけないようにしていたから、大志さんから電話があり驚いた


「もしもし、どうしました?」

(『こら、奏真に会っただろう?』)

ギクッ


「‥‥‥ごめんなさい。でも、
 自分の気持ちをどうしてもちゃんと
 伝えたかったんです。黙ってたこと
 本当にごめんなさい。」

(『奏真から連絡をもらって話は
 聞いた。ありがとう‥今度奏真と
 しっかり話してみるよ。』)


棗先生‥‥‥もしかして
私が怒られないように大志さんに事前に
連絡をしてくれたのだろう‥‥‥