「で、どうする?付き合ってあげてもいーけど?」
「ばーか!誰がお前みたいなガキンチョと付き合うか!」

 そう言いながら俺は、美姫の頭に軽いチョップを入れた。すると美姫は「いったーい!暴力とかサイテー!警察にうったえてやるー!」と、頭を両手で押さえながら、大袈裟に言った。

「ていうか、こんなに可愛い女の子が付き合ってあげるって言ってるのに!ドーテーのクセに振るとか!ほんっとサイテー!」
「ドーテードーテーうるさいな!……はっは~んわかった、もしかしてお前、俺のこと好きなんだろ?」

 と、俺は冗談で美姫にそう言った。すると美姫は、顔をかあ~っと真っ赤にして。

「ちっ!違うし!ヒロくんみたいなフツメンなんか好きにならないし!一目惚れなんてしてないし!!」
「いや、俺は一言も『一目惚れ』なんて言ってないけど……なに、お前まじで俺のこと好きなの?」
「だから違うってば!!もう!ヒロくんのヘンタイ!スケベ!ロリコ──痛っ!!」
「おい美姫!!本!!」

 美姫が俺から慌てて離れ、部屋から出ていこうとした時だった。本棚にぶつかり、上段の本がバラバラと美姫の上に落ちてきた。だが、条件反射で俺は美姫の体を覆い被さるようにして庇い、本は全部俺の頭や背中に落ちてきた。

「イッテー……ったく、なにやってんだよお前は~。怪我はないか?」
「ごっ、ごめんなさい……」

 と、美姫はぐすぐすと泣き出してしまった。