「おっしゃー!また俺の勝ちー!」
「くっそー!また敗けかよ~。大地(おまえ)強すぎだろ」

 大地の部屋でゲームをやって盛り上がっていると、大地のスマホが鳴った。

「もしもし、母ちゃん?うん……うん、おっけーわかった、持ってくるよ……うん、いいよいいよ、じゃっ」
「どした?」
「母ちゃん、仕事帰りで今近所のスーパーに行ってるみたいなんだけど、家に財布忘れちゃったから持ってきてくれーってさ。悪いけど俺、今から母ちゃんに財布持っていくから、ヒロはここで待っててくれ」
「おっけー」

 そう言って大地は、急いで家を出た。

「さて、と。俺は今のうちに、今度こそ大地に勝つために、1人プレイで特訓特訓……」



 コンコン。
 
 1人でゲームをしていると、誰かが部屋のドアをノックした。

「大地……じゃ、ねぇよな?美姫か?」

 ドアの方にそう言うと、ガチャッとドアが開いた。美姫だ。肩上のツインテールを揺らしながら、ドアの隙間からぴょこんと顔を覗かせた。