四神の国の白虎さま

「……紫陽、怪異が現れた」

玄武の言葉に、紫陽は「……まだ明るいのに?」と窓の外を見る。

「怪異のほとんどは、暗くなってからが活動時間だ。でも、ごく稀にこの時間から活動する怪異がいるんだよね。紫陽は、とりあえず僕らと待機だ。白虎も、索敵をお願い」

玄武からの指示に、俺は頷くと玄武の家を出た。庭の真ん中まで移動すると、風を起こして宙に浮く。

その風に乗ったまま、俺は空から怪異を探した。

ゾワリ。

ふと怪異の放つ独特な気配を感じて、俺は気配がした方へと向かう。

「……ッ!!」

怪異がいたのは、紫陽の営む薬屋の側。大きな虎型の怪異だ。

まずい。このままじゃ、被害が……。

怪異が動こうとした次の瞬間、炎が怪異に巻き付いて、怪異は身動きが取れなくなる。

「白虎っ!!」

朱雀の声が聞こえてきて、俺は声がした方を見た。朱雀の背中には、普段は隠しているはずのオレンジ色の翼が生えている。

朱雀は、空を飛ぶ時以外は翼を背中に隠している。隠してた方が、いろいろ動きやすいんだって。

「朱雀……」

「これ、数分しか持たない。白虎、連絡お願い」

朱雀は、そう言い残すと怪異の近くに着地した。