ーガチャー
部屋に戻るとカノンがベッドに横になりながらマンガ読んでた
チラッとわたしに視線をよこして「おかえり」を言う
その視線はすぐにマンガに向けられる
「ただいま、 ありがと」カノンのおかえりに返事とお礼の気持ちを伝える
こないだの話し 今なら少しカノンの気持ちわかるんだけどな
カノンはマンガ読みながら指でオッケーサインつくって答える
わたしは机に荷物を置いてイスに座って引き出しからノートを取り出す
なにをどう整理すれば自分の気持ちに正直になれるんだろう こんなわたしが自分の気持ちに気づけるんだろうか
気持ちの整理をつけるためにノートにいろんな想いを書きなぐる
『赤毛のアン』から始まったフミアキとの関係
家にいったり 買い出し行ったり 本の話ししたり
公園行ったり 図書室行ったり…楽しかった記憶しかない もっともっと本の話ししたかった…もっと楽しい記憶つくりたかった…もっともっとフミアキのこと知りたかった…こんな短時間のフミアキとの時間がわたしの中をたくさん占めてた 読んでもらいたい本もたくさんあった そんな気持ちが根こそぎ奪われたような気持ちになった
そんな気持ち…そんな気持ち…
「やっぱ恋じゃん?」
うわっ!!!! 驚いてノートに覆いかぶさって声の主を見る!!
一人しかいないんだけど…
「カーノーンーーーーー!!!!」
マンガに夢中だと思ってたのにいつの間に…
さすがに妹と言えどこれはないわ
「なにみてんだー さすがに怒るよ!!!」
わたしは声を荒げて言う
悪びれるそぶりのないカノンはわたしをひょいとすり抜けるとまたノートを見る
「だからぁやめろっての!!!」
カノンからノートを奪い取る!
「疑う余地はないんだけどさ ネオンが恋とか ちゃんとできるんだな」
「恋ってなんだよ! そんなのまだわかんないだろ!!」
わたしは妹に、ましてや中学1年生に指摘されるのがやだった わたしのが大人だと思ってるから!
「自分で気づきたいの! わたしのことなのに周りがわかったようなこと言うのやなんだよっ!」
「そんなこと言ってたらさ 失っちゃうよ? 大切な人」
「なんでだよ!」
「だって絶対気づかないから ネオンは自分で否定しちゃうから」
ぐさっと来たカノンの言葉 ほんと実際そうなんだろうなって思ってた あいつがいなくなるの知った今じゃきっと余計にそう思ってるんだと思う
「でもね もうすぐだと思う そんだけネオンは心に傷負ってたんだもんね」
「わたしはなーんもなく小中って今んところ過ごせてる なんもなく過ごしてたらこの年齢でもわかるようになってること、ネオンはずっと閉ざしながら来てんだからね」
知ったようなこと言うカノン
でもほんとにわたしの知らないことも知ってんだろな
わたしが心閉ざしだしたのが小学生の時だとしたら今のカノンはその時のわたしを追い越してんだもん
「ツンデレすんな それとこれとは別! わたしのノートのぞき見すんのと取り上げて見た行為は怒られるに値するんだからっ!」
わたしはそれ以上言ってほしくなかった
カノンの気持ちはわかってる
ただ気づいちゃうとここから先はツラいだけ…
ってことは気づいてるんじゃん、わたし



