またあえたらいいね


もとと別れて1年がたった。
受験も終わり、高校1年生の文化祭が始まろうとしていた。
もとと離れた高校。
別れてから卒業までもととはいつものように話した。
ふたりとも周りに心配をかけたくなかったのだ。
卒業時にはアルバムに一言ずつ書きあった。

ーまたあえたらいいね  こうき

ーまた会おうね 高校でも部活がんば! こはる

似たようなことを書いていると笑いあったのが、彼との最後の思い出だった。


私には今気になる人がいた。
ほぼひとめぼれで好きになった。
彼の名は天野治。
隣の席になったときに、ペアワークでの笑い話、笑い声、話し方。
彼の笑い方に惹かれ、気づけば目で追う毎日だった。

彼はとことん優しかった。
12月23日。彼とメールのやり取りをしていると、
ー僕こういうところがいけないんだよな笑
彼自身を卑下するような言葉に、とっさに
ー私は天野君のそういうところ好きだけどね

送ってしまった。やってしまった。終わった。
グッバイ私の高校生活...。

ーえほんと?

もう言うしかない。
ー好きです。良ければつきあってください

ー三好さんのこと、そういう目で見たことはなかったんだけど、よろしくお願いします


違和感だった。好き同士が付き合うものではないのか。
まあいっか。

そう思ったのがいけなかった。
相手は好きではない、だが付き合ってはいる。
辛かった。
彼が新しく恋するとして、それの邪魔になっているのではないか。
彼の重荷になっているのではないか。


どんどん好きになっていく一方、苦しさも比例していった。


1月20日。ようやく決意できた私は
ーやっぱり申し訳ないから別れませんか、?

ー尊重します

いつまでもやさしかった。
理解できないところも多かったけど、大好きなまま、彼との思い出に終止符を打った。
これからの高校生活で関りはあるだろうけど、それでもこの決断は間違っていないと思う。