(横顔、きれい……)
正面から見ても整った顔立ちだが、エミリオの横顔は儚げな印象で雪のような美しさがある。
(こんなに綺麗なんだから、女の子からモテるのは当然、か……)
そんなことを考えていると、エミリオの視線が動いた。
チラリと、彼もリーシャを見る。
バッチリ目が合ってしまい、リーシャは勢いよく顔を背けた。
「リーシャ」
静かに呼ばれ、リーシャは後ろめたさでドキッとする。
「今、あからさまに目をそらしましたよね?なぜですか?僕とは目も合わせたくないと?」
「ちがっ……そういう、わけじゃないから」
「では僕は、今日の帰りに貴女をカフェへ誘っても問題ないですか?」
「えっ」
「……やはり問題が?」
「いえ、その……問題はないけど」
突然のお誘いに驚くリーシャ。
その時だった。
「ヒィ、ヒィ……リッちゃーん!」
「あれ?今なんか、ラズの声がしなかった?」
「え?気のせいでは?」
「コラそこ!気のせいにすんなっての!」
ピョンと机の上に跳び乗るエリマキトカゲ。
疲れたのか、息が荒い。
「やっぱりラズだ」
「……どうやって出てきたんですか」
「ふふん。俺を甘くみるなよエミリオくん。ぐるぐる巻きにされようが土に埋められようが、自由を愛する俺には効果なしってね」
「そうでした。隠密型は常に十の逃げ道を考えていると言われていましたね」
ハァ、と深い溜息をこぼすエミリオ。
ラズの拘束は半日ももたなかった。
「なーなーリッちゃん、エミリオくんに何もされなかった?エミリオくんは俺を閉じ込めて、リッちゃんに何しようとしてたわけ?」
「ラズ、うるさい。ここは図書室なの。黙ってて」
いつもの調子でラズを掴み、服のポケットに突っ込む。
ギャフッ!と聞こえたが、リーシャは無視を決め込んだ。


