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さて、大学に到着し、それぞれ講義があるのでエミリオと別れたリーシャだったが。
「リーシャ、隣に座っても構いませんか?」
「エミリオ……!?」
大学の図書室にて、再びエミリオと合流。
いつもこの曜日は昼休み前に空き時間があるので、リーシャはレポート課題をやろうと図書室にいた。
「びっくりした……。隣ならどうぞ。貴方もこの時間は空いてるの?」
「はい。普段は空き教室で自習しています。今日は課題に使う本を借りに来たんです。貴女の姿が見えたので、声を掛けてしまいました」
空いてる隣の席にエミリオが腰掛け、抱えていた本を机に置く。
「リーシャのそれも、課題ですか?」
エミリオがリーシャの開いている本を見た。
「そう。口承叙事詩と魔術っていうテーマでレポートを書かなきゃいけなくて……今は色々と文献を読んで自分なりの解釈を書き出してるところ」
まだ全然まとまっていない。
リーシャは小さく溜息をついた。
「そうですか。僕に手伝えることは何かありますか?」
「大丈夫だよ。このくらい、一人でやらないと。エミリオだって課題あるんでしょ?」
「はい。ですが、僕は口語魔術学科を卒業しているので、言わば貴女の先輩です。行き詰まってしまったらアドバイスくらいできます。その時は僕を頼ってください」
「わかった。ありがとう」
それからは、二人で静かに課題に取り組んだ。
図書室のゆったりとした空間は居心地がいい。
それなのに、なぜだかリーシャは落ち着かなかった。
(エミリオが、気になる……!)
課題どころではない。
隣に座るエミリオがパラリと本のページをめくる度、その小さな音に意識をもっていかれる。
――僕も……貴女といる時間は、好きです
あの時の、美しいバイオレットの瞳と頬へのキス。
それらを思い出し、リーシャは顔を熱くした。
(ストップ!なんで今思い出すの!?余計集中できなくなる……!)
エミリオはいつだって冷静だ。
思い出して真っ赤になるのは自分だけなのだろうか。
リーシャはチラリとエミリオを盗み見た。


