エミリオが頬を染める。
自惚れてもいいのだろうか、と聞き返せないまま。
「貴方が死んだら、確実に泣くから。再生したって……泣くんだから」
「それは僕も同じです。貴女が死んだら泣きます。ですから、どうせ死ぬなら、再生しない貴女よりも、再生する僕の方が都合がいいと思いませんか?」
「またっ……都合がいいとか、そういう言葉を!」
怒るリーシャを宥めるように、エミリオは優しく彼女の手を撫でた。
「リーシャ。貴女になら、何度だって殺されてもいいです」
穏やかに微笑みながら彼は囁く。
リーシャは目を見開いてエミリオの柔らかな笑みを見つめた。
「必ず貴女のもとに蘇ります。約束します。だから……どうか僕を、殺してください」
それが合図だった。
触れ合う手から熱が伝わる。
リーシャの意思に関係なく、エミリオは類感魔術の決まり文句を唱え始めた。
「共鳴せよ同調せよ類感せし二つの心。ここに繋がれし身体より流れくる全てを断つことあたわず。共鳴せよ同調せよ……」
リーシャの肌に浮かぶ黒い斑点がゆっくりとエミリオの方に向かって動き出す。
魔術によってリーシャとエミリオが繋がり合い影響し合うことで、リーシャに触れるエミリオの手を通して、死の呪いは少しずつエミリオの体へと移動を始めた。
何をされているのかわかっていても、もうリーシャはエミリオの行動を止めようとは思わなかった。
――リーシャ。貴女になら、何度だって殺されてもいいです
――必ず貴女のもとに蘇ります。約束します。だから……どうか僕を、殺してください
その言葉たちがリーシャの耳に、愛にあふれているように聞こえてしまったのは、なぜだろう。


