「わかって、るの?死ぬんだよ……?」
「さんざん死にました。慣れてます」
「っ……慣れちゃ、ダメだよ……!」
「僕は死ねない代わりに、何度も死ねるんです。繰り返せばいずれ慣れます。痛みだって、もう感じません」
死の痛みには慣れたと語るエミリオが悲しくて、リーシャの顔が傷ついたような表情になる。
エミリオはハッと気づいて言葉を訂正した。
「すみません……間違えました。そもそも、僕は痛みを知らなかったんです。戦争で、何度もこの体を爆破させていたあの頃、僕は痛みを痛みだと認識していなかった。だから躊躇いなく、自分の体を壊すことができました。今だって、人よりも痛みには鈍感です」
「だからって、エミリオが傷ついていい理由には、ならないよ。お願い……もっと、違う方法を探して……。私、貴方のこと……殺したくない」
「えっ……貴女が、僕を殺す?」
「だって、そうでしょう?私の呪いを、エミリオが受けるなら……貴方は私のせいで、死ぬの。私が殺したも……同然よ」
「ち、違います!僕は、そんなつもりではっ……!自分を責めないでください!」
動揺して声を大きくするエミリオ。
リーシャは「自分を責めるな」と言う彼に苛立ちを覚えた。
エミリオだって、人のことは言えないはずだ。
「それ、エミリオもでしょ!生まれて来なければよかった、とか……!そんなこと、言わないでよ!」
どうしようもなく悔しくて、リーシャの目からボロッと涙がこぼれ落ちる。
「貴方と一緒にいるのが好きだと思う、私の気持ちを……全否定しないで!!」
涙するリーシャを見つめてエミリオが息を呑んだ。
「っ……思って、くれていたんですか?僕と過ごす時が、好きだと」
「好きよ!エミリオと話すのは楽しいし、エミリオが笑えば嬉しいし、エミリオがツラそうなら、悲しいのよ!!」
「リーシャ、それは……」


