「取り敢えずエミリオくんに報告だな。これから会うんでしょ?」
「うん。教室で待っててって言われてるから、そろそろ来ると思う」
と、その時。
タイミング良くエミリオが室内にやって来た。
「リーシャ、遅れてすみません。一緒に帰りましょう」
「おっとエミリオくん、良いところに。リッちゃん襲われたぞ」
「えっ」
リーシャの怪我を目にし、エミリオの顔色がサッと青くなる。
「さてさて、楽しい暗殺計画の話をしようか。エミリオくんはどんな殺し方が良いと思う?」
殺気を放ちながらエリマキトカゲが悪い顔をした。
「ま、待ってください!詳しい状況説明をお願いします。いったい何があったんですか!?」
それから、今日の講義が全て終わっている二人と一匹はゆっくり話をするために学外のカフェへ向かった。
周りにヘレナの気配がないことを確認し、カフェの席に座る。
「とりあえずリッちゃんには俺のお手製万能傷薬をあげる。これ塗っとけば明日にはそんな傷、跡形もなく治っちゃうよ」
「ありがとう、ラズ」
どこからともなく小瓶を取り出したラズがそれをリーシャに渡す。
止血しただけのそこに早速リーシャが薬を塗ろうとしたその時。
「リーシャ、貸してください。僕が塗ってあげます」
「え、でも……」
「その傷は僕のせいでしょう。こんなことで償いになどなりませんが、僕にやらせてください」
譲らないエミリオにリーシャは折れた。
小瓶から薬を取り出し、エミリオがリーシャの手にそっと触る。
とても優しい触れ方に、リーシャは痛みも忘れてドキドキした。
(痛いはずなのに、くすぐったいような……変な感じ……)
「エミリオくん、触りかた健全すぎない?このチャンスを生かしてもっと下心あふれさせても良いと思うんだけど?」
「僕は貴方とは違います。からかうようなら切り刻みますよ」
「おお、怖っ!」


