(え……?エミリオ?何言ってるの?)
エミリオの声からは喜びや優しさは全く感じられなかった。
物凄く事務的な、機械のような声が辺りに響く。
「えっと……エミリオくんは、カッコいいし、優秀だし、優しいし」
「優しい?どの辺りでしょうか?」
「私が解読を間違った時、かばってくれたじゃない?」
「……ああ、あの時ですか。あの状況になれば僕でなくとも誰かしら貴女のミスに何らかの助けを入れていたでしょう。偶然そばにいたのが僕だった。それだけのことです」
(……エミリオは、告白をオーケーしたのよね……?)
否定的な物言いに疑問がわく。
それは相手の女子も同じだったようだ。
「エミリオくん……私からの好意が嬉しいって、さっき言ったよね?」
「はい。確かに」
「なら私のこと好きってことだよね?付き合ってくれる?」
「いえ、僕から貴女への感情に貴女が求めるような愛情は存在しません」
「なっ!どうして!?ならさっきなんで嬉しいなんて言ったの!?」
「人から思われることは誰しも嬉しいものでは?けれど嬉しいと感じるからといって、そこに同等の愛情が存在するかというと、それはまた別の問題です」
つまり付き合う気はゼロらしい。
リーシャはホッと息を吐いた。
「な、何よ!本当は、好きな人がいるんでしょ!?」
「は?」
「私、知ってるんだから!エミリオくんが最近、リーシャ・リデアっていう女子とよく一緒にいるの!」
(は!?私!?)
いきなり自分の名前が登場し、リーシャの心臓はバクバク鳴った。
頬がすごく熱くなる。
「確かに、最近はよく彼女と一緒にいます。ですが彼女は……」
「恋人?もう付き合ってるの?どうなの!?」
「っ……あ、貴女にそんなことを教える必要が、どこにありますか?僕と彼女の問題に口出ししないでください」
(エミリオ、その言い方だと誤解を招くんじゃ……!)
案の定だった。
相手の女子は可愛らしい顔を真っ赤にさせて怒鳴った。


