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マリーとあんな会話をしてからというもの、ふとエミリオのことが気になってしまう。
そんな日々を過ごしていたリーシャはある日、本当にたまたまその現場を目撃して固まった。
「好きです!エミリオくん!」
告白、である。
あまり人が通らない校舎裏。
緑が多いそこには野鳥がたくさんいる。
今度の課題は鳥との会話なので、リーシャは空き時間に練習しようと訪れたのだが。
(エミリオって、この前も告白されてたんだよね?そんなに女子から人気あるの?まあ、顔は綺麗だしカッコいいし、ちょっと口うるさいけど優しいし、好かれるのもわからなくは……)
女子にキャーキャー言われるエミリオを想像してリーシャの頭がズンと重くなる。
なんだろうか、このズッシリ感。
(あの子は……誰だろう?エミリオと同じ学科の子かな?)
リーシャが知らない相手だった。
明るい金髪が綺麗な可愛らしい子だ。
太い木に体を隠して、そっと聞き耳を立てる。
リーシャはハッキリとエミリオの返答を聞いた。
「ありがとうございます。貴女からの好意はとても嬉しいです」
リーシャの胸がチクンと痛む。
(そっか……エミリオは、彼女のことが……)
好きなのだ。
そう理解しようとした時だった。
エミリオが淡々と続けた。
「ですが、貴女はいったい僕の何を見て、感じて、好意を抱いてくださったのですか?貴女は僕を好きだと言いますが、僕は貴女に特別優しくした記憶はありません。貴女に対する僕のどういった行動が心を動かしたのか、参考までにお聞きしたいのですが、よろしいですか?」


