自爆しないで旦那様!



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 ラズの家に行った日の翌日は雨だった。

その週は雨が続き、週末になってやっと天気が回復した。

さて、そんな気持ち良く晴れた休みの日のことである。

「リーシャ、今日は大学休みだよね?」

「うん」

「なら僕と一緒に遠出しない?」

オーチェからの突然のお誘い。

ラズは朝から見掛けておらず、今リーシャはリビングでオーチェと二人きり。

のんびり過ごしている。

「出掛けるの?どこへ?」

「行きたいところがあるんだ。君に見せたい場所もある。あまり楽しいところではないけれど、とても美しいのさ」

美しいところ、らしい。

他に予定もないので、リーシャは喜んで頷いた。

「そこまではどうやって行くの?」

「うん。呼んだからね。もうすぐ来ると思うよ」

「え……?」

意味がわからず首を捻ると、いきなり玄関の方からドンドンと勢いよく扉を叩く音が聞こえてきた。

「リーシャ!!無事ですか!?」

何やら外から聞き覚えのある声がする。

「来たね」

オーチェは玄関に向かうと喧しい彼を中に入れてやった。

「リーシャ!」

「エミリオ!?」

リーシャを見るなりエミリオが焦った様子で近づいてくる。

突然やって来た彼は酷く心配そうにリーシャの顔を覗き込んだ。

「体は大丈夫ですか!?先程オーチェから連絡があって……今すぐ来なければ貴女を襲うと」

「え、なにそれ」

初耳すぎる。

今の今までリビングでオーチェと何事もなくダラダラ過ごしていたのだが。

「オーチェ!彼女に何かしましたか!?」

「ハハッ、するわけないでしょ。僕を何だと思ってるのさ」