自爆しないで旦那様!


コクンと飲んでからホォと吐息をこぼす。

そんなリラックス中のリーシャを観察していたラズは、唐突にリーシャの目の前に立つと、こう言った。

「ねえ、リッちゃん。真面目な質問があるんだけどさ」

「何?」

「俺の顔、よ~く見て」

ズイと近づいてくるラズの顔。

リーシャは言われた通りにラズの顔をジッと見つめる。

「リッちゃん……どう?」

「えっ……どう、とは?」

「なんか、こう……感じない?」

「貴方の顔に何を感じろというの?」

ズバリ言われ、ラズは盛大な溜息を吐き出した。

「リッちゃん、マジで興味ない奴には興味ないのな。そういうところだぞ~、男にモテない理由は」

「っ……!」

男にモテないだなんて失礼な。

ならばラズは女子にモテモテだというのか。

顔だけは良い男である。

リーシャは女子にキャーキャー言われているラズを想像し、手に持つカップを無性に投げつけたくなった。

「……貴方、何が言いたいの?」

落ち着けと心の中で自分に言い聞かせ、ラズを睨みつける。

するとラズはとびきりの笑顔を作ってみせた。

「ズバリ、俺の見た目の感想をだな……マジで何もないわけ?イケメンな俺の、この爽やかな笑顔を見て、カッコいい!とかステキー!とか、なんかあるだろ?」

何もない、とは即答せず、ちょっぴり考えてからリーシャは言った。

「胡散臭い」

「ぶはっ」

聞いた瞬間、ラズが吹き出す。

表面的なニヤニヤ笑いが多いラズだが、リーシャの「胡散臭い」発言に大爆笑である。

今、彼は心の底から笑っていて楽しそうだ。

「アッハハ!マジか、うさんくさっ……ハハハッ、ヒィ〜、腹いてー」

ひとしきり笑い転げてから、ラズは満足そうに頷いた。

「うん。やっぱりリッちゃんはリッちゃんだな。流石だぜ」

「意味わからないんだけど」

「俺がリッちゃんのことダイスキってこと。そのままのリッちゃんでいてくれよ、な?」

なぜか頭をぽふぽふ叩かれる。

馬鹿にされているようでムカッとしつつも、リーシャはラズの手が優しく感じられてされるがままになったのだった。