自爆しないで旦那様!


「リッちゃん大人しいな。生きてる?」

「勝手に殺さないで。ただ、この体……少し動きづらくて……」

「マジか」

「貴方、いつもこの姿の時、よくあんなピョンピョン動けるわね」

「エリマキトカゲ歴長いからね」

「なぜ?気に入ってるの?」

「まあ、そうなるのかな。変身しやすいって意味では気に入ってる。たぶん相性良いんじゃないかな~と。俺さ、初めて作った変身薬がエリマキトカゲだったんだよ。調合に失敗しないし使いやすいし割りと簡単に作れるから愛用してるわけ」

どうやら変身する生き物の特性や見た目を重視しているわけではないようだ。

てっきりエリマキトカゲが好きなのかと思っていたリーシャは驚いた。

「そう言えば、ラズって変身に使う薬とかどこで作ってるの?材料とか色々必要なんじゃないの?」

「必要なもんは全部家にあるから、調合する時は家に戻ってる。たまにいなくなるでしょ、俺」

確かに、と納得しつつリーシャは首を傾げる。

(ラズの、家……?)

エリマキトカゲの姿でぷらぷらしているラズばかり見てきたせいか、彼がちゃんとした家に住んでいるイメージが想像できないリーシャだった。

「貴方、家あるの?」

「あるよ!ホームレスじゃありません!」

心外だと言わんばかりにプリプリと怒るラズ。

けれどすぐニヤニヤ顔に戻った。

「なんなら来る?リッちゃんなら大歓迎だよ?」

「うん。行ってみたい」

どんな家なのだろうか。

興味がある。

ほとんど迷うことなく答えると、ラズは嬉しげに笑った。

「なら、大丈夫そうなとこに移動するとしますか。あっちの方とか、広いし誰もいないし丁度いいな」

そう言ってラズが向かったのは公園の奥にある開けた場所だった。

到着するや否や、ラズは常に持ち歩いている青い石を取り出してリーシャに見せる。

手のひらにすっぽりと収まるサイズのそれは不格好で、青色ということを除けばその辺に転がっている石ころと大差ない。

「その石は……?」

「これが俺の家」

「は……?」

「ちょい待ってろな〜。今戻すから」