自爆しないで旦那様!


「え!?」

身に覚えがあるこの感覚。

犬に変身してしまった時を思い出す。

まさかとリーシャが思った次の瞬間には、もう時すでに遅し。

(今度は何!?また犬!?えっ……ちょっと待って。これって、もしかして……)

自分の小さな手足を視界に入れて確認し、リーシャはラズを見上げる。

「おう!めっちゃ可愛いエリマキトカゲちゃんがこんなところに!」

なんと、リーシャはエリマキトカゲになっていた。

「ラズっ」

殺意をこめてラズを呼ぶリーシャ。

そしてやはり、ラズからもらう食べ物や飲み物にはろくなものがないと知る。

「もとに、戻して!」

椅子の上からニマニマ顔のラズを睨み付けていると、不意にオーチェが近づいてきた。

キラキラした瞳で。

「どうしよう。こんな可愛いエリマキトカゲ初めて見たよ。僕が大切にお世話してあげるね」

何やらウキウキしているオーチェにひょいと抱き上げられる。

そのままオーチェはエリマキトカゲのリーシャを抱っこしてスタスタとキッチンから出て行こうとした。

「あ、おい!リッちゃん拉致るなよ!」

すかさずラズが取り返し、今度はラズの肩にちょこんと乗せられる。

「リッちゃんはこのまま俺とお散歩デートな」



という訳で、その後リーシャはラズに連れられて公園までやって来た。

道中、リーシャはなぜラズが自分をこんな姿に変えたのかを考える。

(面白いから、とか?……ラズのことだから、あり得る)