自爆しないで旦那様!



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 オーチェと一緒に寝た翌朝。

リーシャは珍しくオーチェよりも先に目覚めてしまった。

リーシャの隣には未だスヤスヤ眠るオーチェがいる。

うなされることもなく、気持ち良さそうである。

(もう少し、寝かせてあげよう)

けれど自分はそろそろ起きなければ。

大学に遅刻する。

リーシャはそっとベッドから抜け出し身支度を済ませた。

それからは朝食と、お弁当作りである。

(いつもオーチェに任せてばかりだから、たまにはこういう日も良いよね)

そう思いながらキッチンで準備をしていると。

「おはようさん」

どこからともなくエリマキトカゲが現れた。

昨夜オーチェから気をつけろと言われた相手、ラズである。

「おはよー」

「あれ?リッちゃんが料理してる!?」

「うん。朝食、ラズの分も作るからね。食べるでしょ?」

「へー。めっずらしいなぁ~。今日の天気は下り坂ってか?」

「……ラズの無しにするよ?」

「ウソウソ!リッちゃんが歩けばいつでも空は晴れ!」

オーチェ曰く、無害そうに見える奴が一番ヤバいもの、らしいのだが。

(やっぱり、ラズはラズだよね)

全くもって疑うことなく、リーシャはキッチンをちょこまかと動き回るエリマキトカゲと一緒に朝食を用意したのだった。