自爆しないで旦那様!



***

そんな事があった夜のこと。

ふと目が覚めてしまったリーシャは、喉がカラカラなことに気がついてキッチンへ水を飲みに行った。

まだ夜明けまでかなり時間がある。

もう一度ベッドに入って寝よう。

そう思って廊下を歩いていたのだが。

「うっ……ぐっ、う、あぁ……!」

オーチェの部屋からオーチェの苦しそうな声が聞こえ、リーシャは驚いて彼の部屋の扉へと近寄った。

「うぅ……あ、あぁあっ……」

(また……うなされているの……?)

眠っているオーチェがたまにうなされていることをリーシャは知っていた。

しかしここまで酷いのは二人で暮らすようになって、リーシャが知る限り初めてだ。

「……入っても、いいかな?」

心配だから、そばに行きたい。

リーシャはそっと扉を開いた。

暗い部屋の中、ベッドに横たわり苦し気に息をするオーチェが見える。

「ぐ、うっ、あ、あああぁっっ!!」

「オーチェ!?」

尋常でない叫びを聞き、リーシャは慌ててオーチェに近寄った。

「オーチェ!大丈夫!?」

「っ……はぁ……はぁ……」

荒い呼吸を繰り返し、オーチェはうっすらと瞼を上げる。

「リー……シャ?」

「ごめん、勝手に入って。声が聞こえて……心配で」

「声……?僕の?」

「うなされてたよ。自分だとわからない?」

「いや……なんとなく、わかるよ。嫌な夢、見てたから」

「すごく、ツラそうだった……」

リーシャの言葉を聞き、オーチェが黙り込む。

リーシャの目には、なんだか落ち込んでいるように見えた。

基本的にオーチェはリーシャに弱いところを見せない。

いつも強気で、ニコニコしている。

それなのに今は、別人のような暗い顔だ。

どうにか元気を取り戻してもらいたくて、リーシャはわざと明るい声を出した。