自爆しないで旦那様!


「兵器って言ってもね、種類がいくつかあるんだよ。僕とマリーは殺戮型、ラズは隠密型、エミリオは自爆型。それぞれ、基本的な性能が異なるのさ。例えば、殺戮型の僕やマリーは他者の血を見ると何かを殺したくなるように造られているんだ。だからさっき、大学で血を見たマリーは殺しのスイッチが入った」

「俺とエミリオくんにはそういうのないよな」

「僕の場合は、自分の判断でスイッチを入れることができます。自分で管理できるので、その点は殺戮型とは違いますね」

人間ではない。

人間とは違う。

改めてそう思わせる会話が飛び交い、リーシャはちょっと怯んだ。

知らなかった多くの事実をいきなり聞かされて、どう受け止めたらいいのか、頭と心が迷っている感じだ。

そんな彼女にラズがひらひらと手を振った。

「リッちゃん?大丈夫か?話についてこれてる?」

「あ、うん。……でもなんだか、全然知らない人の話を聞いているみたい」

「ふーん……」

何を思ったのか、ラズは目を細めると突然こんなことを言い出した。

「一応、包み隠さず真面目に自己紹介しとこっか?俺は人工魔術生命体【O―61885】隠密型兵器、名称はラズだ。主な実戦経歴はセヴェリンの町での諜報活動およびマグリヴァの戦いでの敵将暗殺。ドブロティ地方奪還作戦における諜報活動。破壊工作にスパイ、暗殺が専門に造られてるから瞬間的な戦闘能力は高いけどその分、耐久性とか持続性が低いから長時間の戦闘には不向きなんで、その辺はよろしく」

ゴクリと、唾を飲む。

リーシャは瞬きもできずに固まり、ラズを凝視した。

(……なんだろう。淡々とした自己紹介が、まるで……)

鋭い刃のようだった。

一気に彼の現実を突きつけられたような気分になり、それに打ちのめされる。