「ラズ……」
「ん?」
「貴方……今日から私の部屋に入るの禁止ね」
「はっ!?なんで!?」
「なんでって……自分の胸に手をあててよく考えてみて」
「えー。俺なんかした?寝てるリッちゃんにヤラシイことしたこと一回もないぞ?まあ、一緒にお風呂入った時に裸は見ちゃったけど」
「あっ!そ、そういえば……そんなことも、あった……!」
思い出したリーシャが耳まで真っ赤になる。
ここでオーチェは愛用のナイフを取り出した。
「へぇ……それは初耳だね。詳しく知りたいな」
「ヤベ!ガチでオーチェくんに消される!エミリオくん、助けて!」
「ハァ……自業自得ですね。同情の余地はありません」
「ヒドッ!」
「昔から君って何考えてるかわからなくて嫌いなんだよね。これからもリーシャの周りをうろつくようなら僕も本気でいくよ」
「待った!オーチェくんに本気出されたら俺、絶対負けるから!」
「ハハッ!隠密型の自分を呪うんだね!戦闘能力にも破壊力にも防御力にも特化してない君なんてただのザコなんだよ!」
直球に罵倒され、ラズの目付きが変わる。
蜂蜜色の瞳がギラリと禍々しく光った。
「ハッ、ザコね。スピードなら俺がどの兵器よりも優れてる。油断してたらオーチェくんの喉笛、一瞬で抉っちゃうよ?試していい?ずっとやってみたいと思ってたんだよなぁ」
「いいさ、やってごらん。その小狡い暗殺技術で僕のことを殺してみなよ!」
「ちょっと!!オーチェ!ラズ!ケンカしないで!」
「リーシャ、待っててね。今夜のメインディッシュはトカゲの丸焼きだよ」
舌でナイフをペロリと舐める。
オーチェは本気だ。
リーシャはぞっとした。


