自爆しないで旦那様!


そばで二人のやり取りを黙って見ていたエミリオがハァと溜息をつく。

彼は飲んでいたティーカップを置いた。

「で、どうして貴方はエリマキトカゲなんかに変身してリーシャと一緒にいたんですか?」

「それは企業秘密」

「ラズ、ふざけないでくださいよ」

「ふざけてないよ。俺はいつでもマ、ジ」

「貴方、まさかリーシャを……」

とその時、タイミングよく玄関の扉が開き、オーチェが帰って来た。

背中にはグッタリとしたマリーを背負っている。

「ただいま」

「おっと、マリーちゃん無事?」

ラズが軽い調子で問いかける。

「久々に暴れたみたいで、デカイ蛇を殺ったらぶっ倒れた」

(まさか、あの巨大な蛇を……マリーちゃんが……!?)

その「まさか」らしいが、リーシャ以外誰も驚いてはいなかった。

「オーチェくんは平気なわけ?血を見ても」

「訓練したからね。多少なら平気」

喋りながら廊下を歩く。

オーチェはマリーをリビングのソファーまで運ぶと、彼女をそこに寝かせてからリーシャ達の方へやって来た。

「というか、なんで君はもとに戻ってるのさ。もうリーシャを騙すのやめたの?」

「オーチェ、知ってたの?ラズが人間だって」

「まあね」

「なら教えてくれれば良かったのに……」

この時リーシャはハッと気づいた。

今までラズとは同じ部屋で寝起きしていたのだ。

つまりラズは、リーシャと一緒のベッドで眠ったり、リーシャの着替えを堂々と眺めたりしていたわけである。