自爆しないで旦那様!


ラズはポケットの中から見覚えのある小瓶を取り出した。

(飲むのかな?)

リーシャが思った通り、ラズは蓋を開けて一気にその中身を飲み干した。

それからすぐに、ぐにゃりとラズの体が形を変え始める。

そしてあっという間にラズは人間から小さなエリマキトカゲになってしまった。

リーシャがよく知っている、見慣れたラズの姿に。

「ほれ、ラズだよーん」

テーブルの上でピョンと跳ねるエリマキトカゲをリーシャは凝視した。

(本当に……ラズ、だ……)

リーシャの目の奥が熱くなる。

「ラ……ズ……」

「そう。俺、ラズ。な?信じてくれた?」

いつものラズにホッとする。

と同時にリーシャは涙声で思わず叫んでいた。

「バカ!!」

それから手でラズを持ち上げ、ギュッと抱き締めるように自分の胸へと押し当てる。

「うおっと……!」

「バカバカ!!ラズのバカ!すごくビックリしたんだから!ラズが食べられちゃった時……本当に、ビックリして……」

ポロリと、一粒だけ安堵の涙がこぼれた。

「生きてて良かった……!本当に……良かった」

「リッちゃん……」

丸い目でジッとリーシャを見上げ、ラズはキュッと口を引き結ぶ。

「どうせなら、こっちの俺を情熱的に抱き締めて欲しいなぁ」

リーシャの耳にそのセリフが聞こえた瞬間、ラズの姿が形を変えた。

何をどうしたのか、人の姿へと戻っていく。

リーシャは真っ赤になって慌ててラズから距離を取った。

「いやよ!離れて!」

「うぅ……前途多難だぜ」