自爆しないで旦那様!



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 オーチェやマリーよりも一足先に帰って来たリーシャ達は、なぜかキッチンでお茶を飲むことに。

「まあまあリッちゃん、茶でも飲んで落ち着こうな?」

手際よく用意してくれたお茶をラズが差し出す。

この勝手知ったる感、妙にイラッときてしまうリーシャだった。

「落ち着けるわけないでしょ!貴方、本当にラズなの!?」

「そうだって何度も言ってるんだけど。なんで信じてくんないの?」

「いきなり現れて信じろって方が無理よ」

「リーシャ、ラズに関しては僕も断言できます。“彼”が、エリマキトカゲだったんです。今の姿の彼が本来のラズですよ」

「そういうこと。俺ってこう見えて、調合魔術学部の変身魔術総合学科卒業してんの。だからエリマキトカゲに変身するとか朝飯前なわけ」

調合魔術学部。

それはザックリ言うと「魔術で薬を作る」学部だ。

またまた新たな事実を聞かされたリーシャだったが、妙に納得してしまう。

(前に、私が飲んで犬になった薬。どこで手に入れたのか疑問だったけど、そういうことなら、きっとラズの手作りだ。……もしや、このお茶にも何か入れてる?)

「このお茶にはなーんも仕込んでないから安心しろよ。な?」

心の声を読まれたか。

更に苛立ちが増す。

けれどリーシャは細く息を吐き出し、冷静になろうと努めた。

「……ねえ、ラズ。貴方、エリマキトカゲに戻れる?」

「え、戻れるけど。何?あっちの俺になって欲しい?」

「今の貴方だと、落ち着かないし……目の前で戻ったら、貴方がラズだって信じられる」

「わかった。なら、リッちゃんの信頼を取り戻すためにも頑張りますか」