「ふぅ……マジ死ぬかと思った。てかマリーちゃんの言った通りになった気がする。まあ、キックではないけど」
突如現れた青年がその蜂蜜色の瞳でリーシャを見つめ、ニヤリと笑む。
悪戯っ子のような笑顔だ。
「よっ、リッちゃん。ただいま」
「……え?」
「丸のみされたけどリッちゃんが泣いちゃうだろうから、ちゃーんと出てきたぜ?」
青年の発言にリーシャはポカンとした。
訳がわからない。
取り敢えず、貴方は誰だと尋ねたい。
「相変わらず余裕ですね、ラズ。心配するだけ損します」
このエミリオの言葉に、リーシャはゆっくりとしか動かない頭でまさかの可能性を考えた。
「……ら、ラズ?」
「そうそう、俺だよ俺~。だからその知らないオッサンを見るような目付きやめてねリッちゃん。地味に傷つく」
苦笑する目の前の見知らぬ青年。
もといラズ。
(この男の人が……ラズ!?)
信じられない。
(口調も声も性格も確かにラズだけど、でも。でも!!)
「ち、違う!うちのラズはエリマキトカゲのはず!」
「だから!俺がそのエリマキトカゲのラズだってばよ!リッちゃんのラズは、俺!」
「ふざけないで!うちのラズを返して!」
「ふざけてないっての!ああチキショー!話は後な!今は逃げるぞ!」
こうしてリーシャはラズだと主張する男性とエミリオと一緒に門を出て、そのまま家に戻ったのだった。


