自爆しないで旦那様!


そんな会話をしていた時だった。

これまた唐突に学内アナウンスが流れた。

ピンポンパンポーンと緊張感の欠片もない呑気なチャイムが中庭に響く。

『学内にいる皆様にお知らせ致します。ただ今、生成魔術研究室から大量の蛇が脱走しました。学内にいる皆様は危険ですので、至急、学外に避難してください。繰り返します。生成魔術研究室から大量の蛇が――』

「は?」

彼らしくない素っ頓狂な声を上げたのはエミリオだった。

続いてリーシャが呆気にとられた表情で呟く。

「蛇が、逃げた……?」

「蛇!?おいおい、ふざけんなよ!エリマキトカゲに何の恨みがあるんだ!?」

ラズがヒィィと青ざめる。

エリマキトカゲにとって大きい蛇は天敵だ。

運が悪ければラズが喰われる。

「大丈夫なのよ。うっかり食べられても、ラズりんなら消化される前に中からキックして出てこれるわ!」

「無茶言うな!?」

余裕でそんな無駄話をしていると、何やら周囲でガサガサと音がした。

見れば、中庭にいつの間にか多くの蛇が。

「クソッ!マジで来やがった!」

「逃げましょう!」

ラズがピョンとリーシャのポケットに戻る。

エミリオの合図でみんな一斉に駆け出した。

その間にもわらわらと、あっちからもこっちからも蛇が地面を這ってくる。

「チッ、いすぎだろ。どんだけの数を研究室で飼育してたんだよ!」

「もうもうっ!逃げるとか、マリーちゃんの性に合わないのよ!」