自爆しないで旦那様!



***

「お邪魔しまーすなの!」

「いらっしゃい、マリーちゃん」

「素敵なお家ね!さすがリッちゃんなのよ」

とある休日の昼下がり。

リーシャの家にマリーが遊びに来てくれた。

この町で暮らすようになってから友達を家に招くのは初めてで、リーシャが普段よりもウキウキしていると。

「リーシャ、お客さんて……あっ」

「あら?」

キッチンから玄関へと顔を出した同居人オーチェを見て、マリーが目を丸くする。

一方、オーチェはなぜか気まずそうに自分の額を指で押さえた。

「オーチェ?どうかしたの?」

「あ~!もしかしてチェるチェる!?」

「……え?」

聞き間違いかと思った。

「チェるチェる」とは、オーチェのことだろうか。

リーシャは訳がわからずオーチェとマリーを交互に見る。

「……やあマリー、久しぶりだね出ていって」

「ヒドイ!それは冷たすぎると思うのチェるチェる」

「君に優しくしてどうするの」

マリーとオーチェ。

初めて会うのかと思いきや、二人はまさかの知り合いだった。

しかし仲良くはなさそうだ。

というより、オーチェがマリーを一方的に煙たがっている感じがしてリーシャは慌てた。

気に入らない相手にはすぐナイフをちらつかせるオーチェである。

(オーチェがナイフを出す前に、マリーちゃんを部屋に案内しなきゃ……!)