言われてリーシャは今朝の栄養ドリンクを思い出す。
怪しすぎると思いつつ、美味しいから飲んでしまったあれだ。
「……エリマキトカゲから、栄養ドリンクをもらった」
「まさか……飲んだんですか?」
「飲みました……」
素直に答えると、彼の口から大きな溜息が。
「それ、かなり怪しいですよ。だいたい普通に考えて、“エリマキトカゲから栄養ドリンクをもらう”というセリフ自体がおかしいです。なんでトカゲが栄養ドリンクなんか持ってるんですか。怪しすぎるでしょうそのトカゲ」
「あ、あの子は、ペットみたいなもので!」
「ペットからむやみに物をもらってはいけません!」
(それ、普通は「ペットへむやみに物を与えてはいけません」なんじゃ……?)
リーシャの場合は逆らしい。
「今度からそのエリマキトカゲには注意してくださいね」
「はい。エミリオくんにはご迷惑おかけして、すみませんでした」
「……敬語はやめてください。それに、僕のことはどうか“エミリオ”と」
「わかった。ごめんね、エミリオ」
満足そうに頷くと、エミリオは気を取り直してこう言った。
「では、時間が勿体ないので今から貴女の課題をやりましょうか」
「えっ、今から?」
「言ったでしょう?僕は今、暇なんです。構ってください」
それからリーシャはエミリオに色々とアドバイスをもらい、動物会話ステップその一「猫と話そう」の課題をクリアしたのだった。


