「ありがとうございます。嬉しいです」
笑ってくれた。
その笑顔にリーシャが見惚れた、次の瞬間。
グニャリとリーシャの体が歪んだ。
(あっ……!)
先程、犬になった時にも感じた体の変化に対する違和感が全身に押し寄せる。
(もしかして、元に戻るの!?)
思った通りだった。
リーシャは何もせずとも、また突然もとの姿に戻った。
エミリオの膝の上で。
「……え?」
目をパチクリさせ、自分の膝に跨がる目の前のリーシャを至近距離で見つめるエミリオ。
彼は固まり、やっとのことでこれだけ言った。
「あ、貴女は……えっ……どういう、ことですか?」
「すっ……すみません」
こうしてリーシャはエミリオの膝から降り、自分が突然犬の姿になってしまった事実を包み隠さず話すことに。
当然、聞き終わった彼は呆れ顔である。
ほんのりと頬を染めて。
「では本当に、僕を弄んだわけではないんですね?」
「違います!」
「ちなみに、何が原因だと思いますか?」
「さあ……」
「何か……変身魔術に関係するものと接触した覚えはありませんか?」
「特には……」
「なら、普段は口にしないものを食べたり、あまり使用しないものを今日は使っていたりなど……心当たりは?」


