「ハァ……。結婚したというのに、ラズのような男を見ていると不安になります。隙を見せたらいつか、貴女が誰かに奪われてしまうのではないかと……。いっそのこと、貴女を抱きしめて自爆して、この愛を今すぐ永遠にしてしまいたいくらいです」
「ちょっと!それはやめて。私はまだ死にたくないの」
「なぜ拒むんですか。共に死して僕との愛を永遠にしたくないと?そういうことですか?僕が未だに死ねない体なのを気にしているのなら、心配は無用です。貴女の墓に僕も入り、永遠に地中で眠り続けますから」
「違うわよ!そんなこと気にしてないから!」
リーシャは不安げに揺れるエミリオの瞳を真っ直ぐ見つめた。
「私にはね、これから貴方との子供を産んで、その子と貴方とみんなで幸せに暮らすっていう夢があるの。だから殺されるなんて真っ平ごめんよ!」
リーシャの言葉に、エミリオがきょとんとする。
リーシャが観察していると、エミリオの顔はみるみる真っ赤になっていった。
「あ、ありがとうございます。頑張ります」
照れた様子で視線を床に向けるエミリオ。
もう死ぬだの墓だの言わないな、と判断したリーシャは夫に念押しを試みる。
「だからね、エミリオ。何度も言うけど、何でもかんでも最終的に自爆で解決しようとしないで」
「はい。善処します」
「その答え方はダメ」
「……絶対しません」
「うん!」
それで良し、と笑顔で頷くリーシャ。
そんな妻に見惚れ、一生勝てる気がしないと思うエミリオだった。
【END】
2025/5/18


