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そして月日は流れ、リーシャとエミリオは大学を卒業した。
卒業後、エミリオは言っていた通りアルブにある魔術研究所で働くこととなり、そこで日々の研究に励んでいる。
一方リーシャはというと、大学に入る前の子供達に魔術の基礎を教える先生となった。
そんな二人は卒業後すぐに結婚し、リーシャがエミリオの家に引っ越すことに。
「しくしく……リッちゃんが人妻……。しくしく……」
「ラズ、また朝食たかりにきたの?」
嘘泣きをしつつ、キッチンにどこからともなく現れたエリマキトカゲ。
リーシャが結婚してからオーチェはルイに引きずられて実家に戻ったのだが、ラズだけは相変わらずこの調子だ。
「それはほら、前にも言っただろ?俺はリッちゃんのペットだからさ。飼い主の寝床は俺の家。ならリッちゃんのメシは俺のメシってね」
「なに寝ぼけたことを言ってるんですか。ラズ、もう貴方はリーシャのペットではないんですから、彼女に近づかないで下さい」
エミリオがギロリと上から睨みつける。
しかしそんなことくらいではラズに効果はない。
「リッちゃんは人妻でも未亡人でも俺の飼い主だっての!」
「違います。僕の妻です。夫である僕が認めないペットはペットではありません」
「暴論!」
「なんとでも」
窓を開け、エミリオはそこからポイッとエリマキトカゲを投げ捨てた。
ラズの情けない悲鳴が聞こえた気がしたが、リーシャは聞かなかったことにする。
きちんと窓を閉めたエミリオは、溜息をつきながらリーシャを守るように抱き締めた。


