「そう言えばエミリオって、まだあの家に住んでるのかな?」
「はい。アルブの自宅です。リーシャが今暮らしてる家は、昔ルイが住んでいた家ですよね」
「そうだよ。結婚してこっちに来たから、もうあの家は使い道がないかと思ってたんだけど……ふむ」
ルイは上品に微笑んだ。
「リーシャ、エミリオ。あの家を二人の愛の巣にしてくれて構わないよ」
「っ……!パパ!?」
「オーチェが邪魔です」
「なら、オーチェはこちらで引き取ろう」
「ちょっと、なんで僕とリーシャを引き離そうとしてるのさ。刺すよ?」
着替え終わり、足音を立てずに近づいてきたオーチェがルイを睨みつける。
タイミングが悪すぎてルイはやれやれと溜息をついた。
「オーチェ、頼もしくはあるんだけど、そろそろリーシャ離れしたらどうだい?」
「無理だね。色々と危なっかしいんだよ、リーシャは」
「リーシャが結婚しても一緒に暮らすつもりかな?」
「フェリシアと君が結婚しても、僕はこの家にいたけれど?」
「…………ふむ」
「ルイ、それもそうだな、ならいいか、みたいな顔で納得しかけてないで全力でオーチェを引き取ってください。その時が来たら頼みます」
ルイに釘を刺しつつエミリオはリーシャを抱き寄せる。
エミリオが言う「その時」を想像して、リーシャの頬は熱く赤く染まっていった。


