自爆しないで旦那様!



***

「ただいま戻りました」

廊下からエミリオの声がする。

ルイと一緒にリビングにいたリーシャは急いで声の方へ向かった。

「お帰り!みんな、無事?オーチェは?」

「無事ですよ」

廊下に出れば、エミリオを先頭にオーチェ、マリー、ラズの姿が。

「ただいまリーシャ。すぐ帰って来れなくてごめんね」

「オーチェ……良かった……」

ちゃんと戻ってきた普段通りのオーチェを見て、リーシャが心の底から安堵する。

「リッちゃーん!ただいま、なの!」

ホッとしていたリーシャは、オーチェの後ろにいたマリーを目にしてギョッとした。

「マリーちゃん、血が!」

「あら?」

マリーの髪や服に血がベッタリと付着している。

首を傾げているあたり、マリー自身気づいていなかったようだ。

「大丈夫よ。これはマリーちゃんの血じゃないから」

どうやら全て返り血らしい。

ニコニコしながら説明するマリーに、オーチェはふむと考えた。

「マリーが血を見ても暴走しないってことは、既に一回ブチギレたのかな?僕と合流した時はもう落ち着いてたよね」

「んー、どうだったかしら?」

「すっとぼけんなよー、マリーちゃん。俺が止めに入ったでしょーが」

ラズが呆れながらリビングへ向かう。

そこではルイが寛いでいた。

「ルイくん、こっちはどうだった?」

「少しだけ。大したことはなかったよ」

にこやかに笑って静かに話を終わらせる。

その時、キッチンからリーシャの母親が顔を出した。

「あら、戻ってきたのね。お帰りなさい。夕食まだでしょう?みんなの分も作ったから食べてって」

「ありがとうございます、いただきます」

「ありがとうなの!」

「食事の前にマリーちゃんはお風呂だよ!ママ、お風呂いいよね?」

「いいわよ〜。あっ、おじいちゃんが入ってなければね」

「わかった、見てくる。あとオーチェ、服に血がついてるから食事の前に着替えてね」

「ついてる?ああ、ホントだ。リーシャに言われなきゃ気づかなかったよ。マリー程じゃないから、このままでも良くない?」

「良くない!」