エミリオにくっついて走りながら、長い廊下を右に曲がる。
すると天井からの攻撃は止み、三人はようやく危険地帯から脱出した。
「ふー。危なかったな。マリーちゃん、エミリオくん、無事?」
「生きてます」
「生きてるー!」
「なら良かった」
「はぁ……疲れました。自爆した方が楽です……」
「エミリオくん、それ最終手段な」
やれやれと呆れながらラズが先を行く。
彼が向かったのはすぐ目の前にある研究室の扉だった。
「ここですか?」
「俺の調べではね」
「なんだかとっても静かなの。もうちょっとバタバタしてるかと思ったわ」
首を傾げるマリーの横を通り、エミリオがそっと扉に近づく。
「鍵は……掛かっていないようですね」
「開けるの?ならマリーちゃんが一番に行くわ!」
「待った!マリーちゃんが突撃するのはお約束だとして、俺とエミリオくんはどうする?バスティアンくんのこと殺していいなら俺がサクッと殺っちゃうけど、拘束するならエミリオくんに任せるよ?」
「ラズの好きにしてください。拘束するつもりはありません」
「了解。ならサクッと殺る方な。んじゃ、開けるぞ」
ラズが慎重に扉を開ける。
すると中から勢いよくナイフが飛んできた。
反射神経抜群の三人は苦も無くそれを回避し、室内へ突入する。
「え?」
先頭を行くマリーが思わず声をもらし、ピタリと止まった。
ラズとエミリオも室内の様子に目を丸くする。
「ああ……なんだ、君達か。敵の増援かと思った」
三人にナイフを投げつた犯人、オーチェが静かな研究室に一人立っていた。
壁には血が飛び散り、床にはもうピクリともしない研究員達や最新型の兵器が転がっている。
研究機材も破壊されており、オーチェが自力で脱出しようとして暴れたのがわかった。
「おっと、マジかよ。オーチェくんやるねぇ」
「派手に殺しましたね」
「そう?殺戮型の殺しなんてこんなものだよ」
冷静なオーチェはピリピリしつつ仲間を睨む。
「それで?君達はどうしてここに?まさか捕まったの?」
「チェるチェるを助けに来たのよ!」
「ああ、そう。べつに来なくても良かったのに」
「確かに……必要なかったかもしれませんね」
室内の惨状を見てエミリオが皮肉げに呟く。


