自爆しないで旦那様!


どうやらギーフェルは、まだオーチェの件を知らないらしい。

「ねえ、おじいちゃん。オーチェのことなんだけど……」

察したリーシャが今の状況を説明し、エミリオ達がついさっき救出に向かったことを伝える。

自分も助けに行きたかったが、狙われているからここで待っていることも。

「パパが人工魔術生命体で、その子供の私は特殊な存在だから魔術研究員に狙われてるって、ラズやエミリオから聞いて……」

「ふむ……」

祖父は渋い顔をした。

「おじいちゃんも……知ってたんだよね?パパや、私のこと」

「もちろん。ルイとはフェリシアが結婚する前からの知り合いでな。ルイもわしも魔術医じゃったから、年に一回の健診の他に、医学研究の話をしたくてルイがよくこの家に遊びに来てたんじゃ」

もう隠す必要もなくなったため、ギーフェルは過去を語り出す。

「ルイがフェリシアと結婚して、リッちゃんが生まれた時……初めて軍の研究所から連絡がきてのう。生まれた子供のデータをとりたいと言ってしつこかった。だから一度だけと約束して、赤子のリッちゃんを研究所に連れて行ったんじゃよ」

「えっ」

まさか連れて行かれたことがあるとは。

リーシャが顔を強張らせると、ギーフェルは慌てて付け足した。

「もちろん、わしもルイもフェリシアも一緒に行ったぞ。わしらの目の前でなきゃリッちゃんに触れることはならんとハッキリ言ったからの。大丈夫。リッちゃんには何もおかしなことはされなかった。だがのう……一部、そういう研究員がいたことは否定できん。つまり、リッちゃんを研究材料として見る連中のことじゃ」

祖父の口から「研究材料」という言葉が出ても、リーシャはもう怖くはなかった。

ただ、ラズが言っていた人体実験の話が真実に近いとわかり、暗い気持ちになる。