エミリオとマリーが同時に頷く。
すると、横からルイの声が飛んできた。
「本当に三人で平気かい?」
「そりゃあ、ルイくんいた方が心強いけどさ。ルイくんはリッちゃんを守るっていう大事な任務があるだろ?この場所もあちらさんにバレてるかもしれないから、俺達戻るまで警戒モードでよろしく」
リーシャを守る。
それが一番優先されるべきことだとわかった上で、ルイはちょっと考えた。
「思ったんだけど、リーシャと俺も君達と一緒に行くというのはどうだろう」
「は?」
まさかの提案に、ラズが素っ頓狂な声を出す。
「俺にとってはここでリーシャを守るのも、敵の本陣でリーシャを守るのも大差ないからね」
どこでも同じこと。
この考え方に同意できない慎重派のラズは珍しく本気で吠えた。
「ハハッ……へー。スッゲー自信。さすが守備型兵器様だぜバカヤロー!!」
「ルイ、大人しくここでリーシャと一緒に僕達の帰りを待っていてください。リーシャには少しでも安全なところにいてもらいたいんです」
このままではラズがルイにブチギレてどちらかの血が飛ぶ。
回避するべく、エミリオはすかさず会話に割り込んだ。
「それは、リーシャの恋人としてのお願い、かな?」
「そうですよ。可愛い恋人の瞳に血と暴力が映るなんて、僕には堪えられません」
「わかった。確かに俺も、リーシャの心を無傷で守りきる自信はない。肉体だけなら簡単なのにね」
皮肉げな笑みを浮かべてリーシャをチラリと見る。
そんなルイの瞳は、どこかもどかしげな色をしていた。


