(ママって、まさかかなりの面食い……?)
さすが、の意味は、自分が面食いだから娘のリーシャもやっぱりそうよねと言いたいのだろうか。
気づいたリーシャは真っ赤になって反論した。
「わ、私はっ、べつにエミリオの顔が良かったからとか、そんなのじゃなくて……一緒にいて、気づいたら好きになってたの……!ママと一緒にしないで!」
リーシャの隣で聞いていたエミリオが驚きつつも嬉しそうに彼女を見つめる。
怒りなのか照れなのか、頬を赤く染めているリーシャが愛しくて、エミリオは我慢できずにキスをした。
リーシャの頬に彼の唇が優しく触れる。
「っ……!?エミリオ!?」
予想外のことにリーシャはビクリと肩を震わせた。
「僕も……貴女と一緒に過ごして、貴女の全てを好きになりました」
耳元で囁かれ、エミリオの唇が離れる。
更に赤くなって固まってしまったリーシャの横顔を目にし、エミリオはフッと微笑んだ。
「ふふっ、おめでとうリッちゃん」
一部始終見ていたフェリシアも良い笑顔である。
しかし、ルイは違った。
「リーシャ」
鋭い声で娘の名を呼び、彼はエミリオをギンッと睨む。
「そんなどこの馬の骨とも知れない男、パパは許しません!!」
「えっ?」
「ルイッ……!」
リーシャが目を丸くし、エミリオが噛みつきそうな表情でルイを睨み返す。
そのまま沈黙が三秒ほど続いた後だった。
「ハハッ……なーんてね」
ルイがフッと微笑み、穏やかさを取り戻す。
今度はリーシャがジットリと父親を睨んだ。
「……パパ、何の影響?」
「うん、最近読んでる娯楽小説に、今のセリフが出てきてね。一回使ってみたかったのを思い出したんだ。言えてスッキリしたよ」


