自爆しないで旦那様!


「エミリオくん……今それ言う?」

「何か問題が?」

呆れるラズにエミリオが首を傾げていると、リーシャの母親がタイミングよくリビングにやって来た。

「はーい、お茶持ってきたわよー。どうぞ」

「ありがとうございます、なの!」

「いい香りですね、いただきます」

「おっ、茶菓子うまそう」

テーブルに並べられるお茶とお菓子をボーッと眺めていたルイが、ハッと我に返ったのはその時だ。

彼は困った顔でフェリシアに尋ねる。

「フェリシア、どうしよう。リーシャが彼氏を連れて来たんだ。こんなの想定外で、心の準備が何もできていない。こういう時、リーシャのパパとしてなんて言ったらいいのかな?」

「えっ!?リッちゃんの彼氏!?ここにいるの!?誰だれ〜!?」

「僕です。初めまして、エミリオ・ヴァルティミルといいます。リーシャさんとは同じ大学に通っていて親しくなりました」

「あらやだイケメン!さっすがリッちゃん私の娘ね〜」

さすが、の意味がわからずリーシャは半ば睨むように母親を見た。

「それ、どういう意味なのママ」

「あー、あれじゃない?ルイくん美形だから。女性魔術研究員達から美人型兵器って呼ばれてたの知ってるぞ俺は」

とんでもなくどうでもいい情報をラズが暴露する。

ルイは特に気にしていない様子だ。

それよりもとんでもない情報を、ルイは自ら口にした。

「リーシャ、まさか君もママと同じような愛の告白をしたのかな?ルイを知ると他の男なんてただのゴミにしか見えないの。私をこんなふうにした責任とってね、とパパは言われたんだけど」

「え?」

「ぶはっ」

「ラズ、ここでお茶をこぼさないでください」

「ちょ、ちょっとルイ!リッちゃんには内緒ねって言ったじゃない!」

「言ったかな?」

「ルイルイ、モテモテなのね〜」

目が点になるリーシャ。

爆笑するラズと冷静なエミリオ。

怒るフェリシアにすっとぼけるルイ。

マリーはニコニコ可愛い笑顔。

「聞いていい?ルイくん、それになんて答えたの?」

「確かにそれは俺の責任だな、と答えたが」

聞いたラズが更に爆笑し始めた。