自爆しないで旦那様!


「ふふっ……どういうことかな?よりによって君達が、リーシャと一緒にここへ来るだなんて。嫌な予感しかしないんだけど」

「いやぁ、原因はオーチェくん?」

「ああ、そう言えばオーチェがいないね。リーシャのそばから離れるなんて、珍しい」

「そのことなんですが……」

皆が空いているソファーに座り、エミリオが事の経緯を語り出す。

余計なお喋りがないその説明は、ラズやマリーが話すよりも簡潔でわかりやすい。

ルイもすぐに何があったか理解した。

「なるほど。オーチェがそんなことに。捕まるなんて彼らしくないね。戦場から遠退いていたから感覚忘れたとか?」

「そんなことないわ!今もチェるチェるは強いのよ」

「オーチェくんにとっては、相手も悪いし場所も悪かったんじゃない?戦場とは違ってアルブの町のど真ん中だったからさ。一般人巻き込まないように暴れるのは色々と抑えなきゃだから、殺りづらいっしょ」

「確かに、と言いたいところだけど、そのくらいのこと、オーチェの戦闘レベルならできてもらわないとね。何のためのリーシャの護衛なんだか」

「ルイルイ厳しいの。誰も傷つけないように戦うのは本当に大変なのよ!マリーちゃんはチェるチェると同じ殺戮型だからわかるわ」

「そうそう。ルイくんじゃないんだから、俺達そこまで他人に配慮しながら殺れないっつーの」

マリーやラズと話しながら、ルイはチラリとリーシャを見る。

冷静な娘の様子を観察して彼は確信した。

「ふむ。こんな会話を聞いても驚かないということは、リーシャ。聞いたのかな?パパやオーチェや、ここにいる彼らがどんな存在か」

「聞いた。でもパパのことを知ったのはホントについさっきで、まだちょっと信じられない……」

正直な娘の言葉にルイは苦笑する。

「ごめんね、ずっと秘密にしていて。何も知らないまま、普通の女の子と同じように育ってほしかったから、リーシャには黙っていたんだよ」

「おじいちゃんもママも、知ってるんだよね?」

「うん。リーシャが生まれる前からね」

ならば本当に、知らなかったのは自分だけだったのだ。

そのことにリーシャがショックを受けていると、横からエミリオが割り込んできた。

「ルイ、突然ですが、伝えておきたいことがあります」

「何かな?」

「僕はリーシャの恋人になりました」

「え?」

今までニコニコと柔らかい表情をしていたルイが、ピシリと固まる。