「リッちゃんてホント、俺に興味ないのな」
「それ、どういう意味?」
「会ったことあるのに忘れられてて俺の繊細ハートは粉々よ」
「嘘!?」
「おー、嘘かもな。会ったことはあるけどここじゃないし」
「もうっ!結局どっちなの!?ラズはいつもハッキリしないんだから……!」
怒りながらリーシャはラズに背を向けて玄関に向かった。
そしてコンコンと扉を叩く。
すると直ぐに明るい声がした。
「はいはーい、どちら様?」
ガチャリと扉を開けてくれたのは、リーシャの母親フェリシアだった。
リーシャよりも背が低い彼女は、癖のある茶色の髪をいつもポニーテールにしている。
今日もフェリシアの髪は可愛らしいリボンでまとめられていた。
「ただいま、ママ」
「あらリッちゃん!?お帰り〜!いきなりどうしたの?今日、大学お休みだった?」
「ううん、違うの……!ちょっと、色々あって……その……」
なんと説明するべきか全く考えていなかったリーシャ。
彼女が言葉を探していると、家の中を振り返ったフェリシアが大声を出した。
「ルイー!!リッちゃんが帰って来たわよー!」
姿は見えないが、近くに父親がいるらしい。
リーシャは何だか緊張してきた。
「後ろにいるのはお友達かしら?中へどうぞ〜。リッちゃん、お客さんをリビングに案内してね。ママはお茶の用意してくるから」
リーシャの後ろにいたエミリオ達を視界に入れてそう言うと、フェリシアはいそいそとキッチンへ。
言われた通り三人をリビングに案内すると、そこではソファーに腰掛けたルイが本を読んでいた。
「お帰り、リーシャ。おや、これはこれは」
パタンと本を閉じ、ルイが目を見開く。
リーシャと同じ綺麗な緑色の瞳が「お客さん」を見つめた。
「よっ!ルイくん」
「お邪魔してます」
「ルイルイ、久しぶり〜」
それぞれの挨拶を聞いてルイがふわりと笑む。
美しい金髪がサラリと揺れた。


