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翌朝、リーシャが自室で大学へ行く支度をしていると、ラズがひょっこり現れた。
何やらヨイショヨイショと運んでいる。
「リッちゃん、これあげる」
「え……何?これ」
エリマキトカゲが抱えていたのはリーシャの手にすっぽり収まるほどの小瓶だった。
「栄養ドリンク!俺からの愛情がたーっぷり詰まってるから、残さず飲むように!」
それだけ言うと、ラズはササッといなくなってしまった。
リーシャの机に栄養ドリンクなるものを残して。
「……怪しすぎる」
でもせっかくラズがくれたものなのだ。
それにぶっちゃけ、どんな味か興味がある。
リーシャは好奇心に負けて小瓶を手に取った。
そして蓋を開け、コクンと一口飲んでみる。
「あっ、美味しい!」
意外にも、甘くてトロリとしていて美味しい。
リーシャはゴクゴクと残りも全て飲んでしまった。
さて、そんなことがあってから数時間後。
それは大学内にて突然起こった。
「ワン!?(えっ!?)」
リーシャはなぜか、犬になってしまった。
「ワンワン!?(どういうこと!?)」
何か喋ろうとしても口からは「ワン」しか出てこない。
これでは魔術を唱えてどうにかすることもできないと悟る。


