自爆しないで旦那様!


それからお昼休みが終わり、それぞれ午後の講義へ。

一緒に帰る約束をしたマリーとは、最後の講義が終わってから再び合流した。

「エミりんのお家ってお邪魔したことないのよね。どんなところかしら?」

「普通の家です」

「そういうことじゃないのよエミりん!ベッドが可愛いとか、キッチンがお洒落さんだとか、リビングがキラキラしてるとか、そういうことなのよ!」

「ベッドは可愛くありませんしキッチンはシンプルですしリビングの照明は暗めです」

「むうっ。つまらないの!」

歩きながらそんな会話をしつつも、エミリオは周りを警戒する。

リーシャをエミリオとマリーの間に挟んで歩いてはいるが、敵はどこから狙ってくるかわからない。

エミリオはすっかり戦闘モードである。

何事もなく自宅に到着した時、エミリオはやっと安堵の吐息をこぼした。

「ここがエミリオの家?」

「はい、そうですよ。普通の家でしょう?」

エミリオの家はこの町でよく見られる三角屋根の小さな一軒家だった。

外観はリーシャの家と似ている。

「どうぞ」

エミリオが玄関の鍵を開けて中へ促すと、誰もいないはずの室内から、なぜか聞き覚えのある声がした。

「おかえり、エミリオくん。リッちゃん無事?」

「ラズ!?」

リーシャとエミリオが同時に驚きの声を出す。

確かに鍵は掛かっていたはずだ。

それなのにどうして、青年姿のラズがニコニコしながら中で待っていたのか。

「あら?ラズりん、早いのね。おサボりかしら?」

「いやサボってないから。ちゃーんと仕事はしてきたぜ、マリーちゃん」

「ラズ、殺し屋なんかやめて泥棒に転職した方が稼げるんじゃないですか?」

「あっはははは、エミリオくーん、サラッと俺の職業バラすのやめて。リッちゃんがスゲー怖い目で見つめてくるから」

「自業自得でしょう。睨まれたらいいと思いますよ」

殺し屋と聞いて、ラズをきつく睨みつけるリーシャ。

そんなヤバイ職業だなんて聞いてない。

兵器としての役目から解放されたのに、他のみんなとは違いまだ殺しを職業にしているのか。

言いたいことは色々あった。

「リッちゃーん?そんな熱い眼差しで俺を見つめて、どうしたわけ?惚れちゃった?」

「殺し屋って?」

「ギクッ!」

「どういうこと?」

「リッちゃん、今はそんなことよりもオーチェくんの方が大事でしょ?ほらほら座って座って」