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そんなこんなで、その日はエミリオがリーシャにスケジュールを合わせてくれた。
「僕なら一日くらい休んでも問題ありません。テスト期間でもありませんし、貴女の講義を一緒に受講します」
言葉通り、エミリオとリーシャは午前中を共に過ごし、お昼休みはマリーと合流。
この時マリーに状況説明をしたのだが、彼女もオーチェが消えたことに目を丸くしていた。
「わかったわ!マリーちゃんもリッちゃんのそばにいるわね!帰る時も一緒よ。お家までついてくわ!」
「マリー、リーシャは僕の家へ戻ることになりますので」
「えっ!?どういうことかしら!?マリーちゃん、二人の結婚式にお呼ばれされてない気がするのよ!?」
「貴女の思考はどうなっているんですか!?飛躍しすぎです!」
いきなり結婚式に繋がるマリーの頭の中がわからない。
エミリオもリーシャも、視線でマリーに説明を求めた。
「え?だって、リッちゃんがエミりんの家に帰るってことは、二人は一緒に暮らしてるのよね?なら夫婦だわ!夫婦は結婚しているものだけれど、マリーちゃん、二人の結婚式のこと聞いてないのよ?」
「一緒に暮らしていることが夫婦の証明ならば、リーシャとオーチェの二人暮らしはどうなるんですか?」
「エミりんてば、わかってないのね!エミりんはリッちゃんの恋人よ。チェるチェるは違うわ。そこがポイントなのよ!」
「……そう、ですか」
マリー曰く、恋人同士が一緒に暮らすと、それはもう夫婦らしい。
そんな単純なものじゃない、とエミリオはツッコミたかった。
「マリーちゃん、一緒に住んでるわけじゃなくてね。私の身が危険だから、エミリオの家で待つようにってラズに言われたの」
「ふんふん。なるほどなの。ラズりんの指示ね!理解できるわ。ラズりん、用心深いものね。色々考えすぎてハゲちゃわないか心配なのよ」
「マリーは人のことではなく、自分の思考回路を心配してください」


