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それから何事もなく今日の講義が全て終わり、リーシャはその日もエミリオに家まで送ってもらうことに。
到着した自宅の前で「また明日」と囁かれ、エミリオから口づけられる。
リーシャは来た道を戻るエミリオを見送り、家の中へと入った。
「ただいまー」
「お帰り、リーシャ」
キッチンへ行くと、オーチェが夕食の支度を始めるところだった。
昼間のことを思い出し、リーシャは早速聞いてみる。
「ねえ、オーチェ」
「何?」
「人工魔術生命体って、赤ちゃん作れるの?」
「え……?それは、たとえば僕とリーシャが夫婦になって、僕らに子供が授かるか、ということ?」
「うん」
たとえの設定がちょっと引っかかるが、知りたいことはあっているのでリーシャは頷いた。
オーチェが思考し、数秒黙る。
それから彼は、ステキな笑顔でこう言った。
「さあ?そういうことはラズにでも聞きなよ。あいつの方が経験ありそう。隠し子とか、いるかもね」
その時、二階のリーシャの部屋にいたラズはというと。
「へっくしょん!!うぅ……誰か俺の悪口言ってんな?」
ラズに聞け、と言われてしまったのでリーシャは素直に二階へ。
リーシャのベッドの上でリラックスモードを決め込んでいたエリマキトカゲに、同じ質問をする。
「ねえ、ラズ」
「んー?なんだー?どうしたリッちゃん」
「人工魔術生命体って、子供作れるの?」
「ぶぇーっくしょん!!」
ラズの口からわざとらしい盛大なくしゃみが飛び出した。
リーシャが汚いものを見るような目つきでラズを睨む。
「あれー?俺の聞き間違い?耳掃除したの何日前だっけ?」
「ラズ、人工魔術生命体って、赤ちゃんは」
「はい、リッちゃんストーップ!!」
エリマキトカゲは寝転がっていたベッドからピョンと飛び起きた。
「とりあえず、あれな?なんで俺に聞いたの?」
「だってオーチェが、ラズは隠し子いそうって」
「オーチェくん!?自分が答えづらいからって、めっちゃテキトーに言ったな!?俺にぶん投げんなっての!というかスゲー風評被害!」
プリプリ怒るラズにリーシャは改めて尋ねる。
「で、どうなの?ラズは知ってる?」
「まあ、うん。知ってるっちゃ、知ってる。けど!隠し子とかじゃないからな!そこは誤解なきよーに!」


