トコトン居座る発言を聞いた瞬間、オーチェがキレた。
椅子からガタリと立ち上がり、無言でナイフを握る。
その切っ先はもちろんロールキャベツを頬張るエリマキトカゲに向けられていた。
「死にたいんだね、わかったよ。綺麗に解剖してあげる」
「ひぃ!!冗談じゃねーし!殺られてたまるか!」
その後は素早かった。
ラズは残りのロールキャベツを抱えると、大急ぎで部屋から出ていった。
「逃がさないっ」
オーチェも後を追いかけるが、エリマキトカゲはすばしっこい。
全力で走られたら視界からあっという間に消えてしまう。
「チッ……面倒な奴め」
案の定、見失ってしまったらしい。
オーチェは再び食卓についた。
ロールキャベツをもぐもぐ食べながらリーシャはオーチェをチラリと見遣る。
「殺しちゃダメだからね?」
「約束はできないよ」
昔からオーチェはリーシャには優しいが、気に入らない相手に対してだと途端に思考が過激になる。
そういう性格だから、と言われてしまえばそれまでなのだが。
(もう少し、どうにかならないかな……?)
すぐ「殺す」に繋がる思考をどうにかして欲しいと切実に願うリーシャだった。


