「貴女だけを守りたい。だから、いつか罪に呑まれても僕は……貴女が傷つかない世界のためなら、自爆を……兵器であることを、厭いません」
「エミリオ……」
「もう、貴女のいない未来なんて……僕には描けないんです。これから先も、ずっとずっと、貴女が僕の隣にいて、笑って、泣いて、怒ってくれないと……嫌です」
リーシャから生まれるものを、たくさん欲しい。
それはきっと、エミリオにとって全てが特別に思えるものだろう。
「……わがままね」
「そうですね。貴女にだけです」
「でも好きよ」
「っ……!」
好き、という響きに、エミリオの頬が火照り始める。
何度も壊れ、何度も再生してきた心臓が初めてこんなにも、ドキドキとやかましい。
「私も、エミリオがいない未来なんて……嫌」
リーシャはそう言うと、彼の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「だから、お願い。もう二度と自爆なんてしないで。私のためを思うなら、約束して」
「……なぜか、理由を尋ねても?」
わざわざ言わせようというのか。
それならばエミリオは意地悪だ。
リーシャはカチンときた。
「自分の命を軽く扱う貴方を見るのが嫌だからに決まってるでしょう!?貴女が自爆する度にこんな思いをするのはもうたくさんよ!」
怒りながら、リーシャは泣いた。
泣くつもりもなかったのに、ボロボロと涙がこぼれる。
「泣かないでください。貴女を泣かせたいわけではないんです……」
「なら……!」
何か言おうとするリーシャの唇に、エミリオはそっと指を当てた。
「リーシャ」
「……何?」
「キスしていいですか?」
「は?えっ、い、今!?」
「今です。貴女が可愛らしいので、したくなりました」
「っ……!?可愛く、なんて」
「可愛いですよ」
みっともなく泣いている自分の顔が、可愛いわけがない。
それなのにエミリオは、我慢できないとでもいうように、躊躇いなくリーシャの唇にキスをする。
すぐ離れたそれは軽いものだったが、初めてのことにリーシャは真っ赤になってエミリオを見た。
甘い眼差しで、彼がそっと問う。
「男と口づけした経験は?」
「っ!!」
「……未経験、と受けとりますよ?」
それからリーシャは、エミリオに容赦なく唇を奪われた。
強引なのに優しくて、激しいくせに甘い口づけが繰り返される。
満たされていると感じるのか、リーシャの全てがエミリオでいっぱいになってしまいそうだった。


