自爆しないで旦那様!



***

浅い眠りから覚め、まだ暗い早朝にリーシャがベッドから起き上がる。

(エミリオ……もう、大丈夫かな……?)

考え始めると二度寝などできなくて、リーシャは薄暗い廊下へ出た。

そして一階へ。

暗いリビングをそっとうかがえば、ソファーで動く気配があり、リーシャは慌てて明かりをつけた。

「エミリオ!」

「っ……リー、シャ……?」

突然光を受けたエミリオが、眩しそうにしながらリーシャを見て目を丸くする。

彼はうなだれるような姿勢でソファーに座っていた。

どこからどう見ても、疑いようがなくエミリオだ。

頭から足の先まで、着ている服も昨日と同じように再生されている。

リーシャは嬉しくて、ホッとして、彼のそばに近寄った。

「リーシャ……?生きて、いたんですか?無事、なんですね……?」

「うん。私は大丈夫だよ」

「良かっ、た……」

リーシャがエミリオの隣に腰掛けると、彼は泣きそうな声で不安だった心を打ち明けた。

「僕は、貴女が殺されてしまったかと……!」

「外でのこと?確かに切りつけられそうになったけど、ラズが一緒だったから助かったよ」

「ラズ……そうですか。ラズが……」

晴れない表情でエミリオは目を閉じる。

「悔しいです。貴女を守る役目は、僕でありたかったのに……」

「エミリオも守ってくれたじゃない。呪いからも、イェーラーからも」

「……そうでしょうか。僕は貴女を、危険にさらしてばかりいます」

エミリオは自嘲するように顔を歪めた。

「呪いの時もですが、今回もそうです。貴女が出て行った後、僕は彼らを殺すため自爆しようと決めていました。貴女を二度も殺そうとした相手ですから、情けは無用でしょう。ですが、本当は、あんなすぐに自爆するつもりではなかったんです。まだ貴女が近くにいるだろうことはわかっていたので、もう少し時間をかせぐつもりでいました」