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「リッちゃん、お待たせ」
青年の姿をしたラズが戻って来たのは、リーシャの涙が落ち着いた頃だった。
ラズは手に持っている物体をリーシャに見せた。
「これが、エミリオくんの核だよ」
心臓のような塊が、そこにはあった。
それだけだ。
「これ、が……エミリオ……?」
「まあ、うん。そういう反応するかなとは思った」
リーシャの眼差しは「信じたくない」と言っている。
ラズは苦笑してから、ナイフで刺すようにハッキリ言い聞かせた。
「そうだよリッちゃん。現実見てね。“これ”が、エミリオくん。個体番号【Z―00205】再生可能自爆型兵器の正体だよ」
「っ……」
もう、言葉にならない。
(これが、現実……)
これが「エミリオ」という存在なのだ。
それから、エミリオの核はリビングのソファーに置かれた。
「後は再生終わるまで放置な。途中はかなりアレだから、見ない方がいいぞー」
この分だと完全に再生するには朝まで掛かるらしい。
心配だが何もできることがないので、リーシャは大人しく自室へ戻った。
(朝には、いつものエミリオに会えるんだよね……?)
見せられた物体とエミリオが、リーシャの中で繋がらない。
不安に苛まれ、リーシャはほとんど眠れなかった。


