自爆しないで旦那様!



***

「リッちゃん、お待たせ」

青年の姿をしたラズが戻って来たのは、リーシャの涙が落ち着いた頃だった。

ラズは手に持っている物体をリーシャに見せた。

「これが、エミリオくんの核だよ」

心臓のような塊が、そこにはあった。

それだけだ。

「これ、が……エミリオ……?」

「まあ、うん。そういう反応するかなとは思った」

リーシャの眼差しは「信じたくない」と言っている。

ラズは苦笑してから、ナイフで刺すようにハッキリ言い聞かせた。

「そうだよリッちゃん。現実見てね。“これ”が、エミリオくん。個体番号【Z―00205】再生可能自爆型兵器の正体だよ」

「っ……」

もう、言葉にならない。

(これが、現実……)

これが「エミリオ」という存在なのだ。


それから、エミリオの核はリビングのソファーに置かれた。

「後は再生終わるまで放置な。途中はかなりアレだから、見ない方がいいぞー」

この分だと完全に再生するには朝まで掛かるらしい。

心配だが何もできることがないので、リーシャは大人しく自室へ戻った。

(朝には、いつものエミリオに会えるんだよね……?)

見せられた物体とエミリオが、リーシャの中で繋がらない。

不安に苛まれ、リーシャはほとんど眠れなかった。