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その後、オーチェと一緒に帰宅し、遅くなった夕食を食べることになったリーシャだが、気分が悪くてほとんど残してしまった。
エミリオのことが気に掛かる。
ラズはまだ戻って来ない。
自室のベッドに横たわり、リーシャは屋敷でのことを思い返していた。
(エミリオが自爆したのは、殺すため……)
前に公園でおこなった自爆とは規模が違った。
辺りを一瞬で火の海にしてしまう威力。
「兵器」の力。
(エミリオは、自分の力を恐れてた……。今なら、わかる。なんでエミリオが、あんなに怖がってたのか……)
――それは貴女が、僕が実際どれ程の破壊力を秘めているか知らないからです……!
彼はそう言っていた。
実際その破壊力を目にしたリーシャは、前より少しだけエミリオを怖いと思う。
けれど、それ以上に悲しくて悔しくて腹が立った。
納得できないのだ。
「あんなに、嫌がってたじゃない……!」
――では、僕も言えば良いんですか?この体が、自爆してきた回数を!!
――僕はそんなのゴメンです
エミリオは「兵器」としての自分を嫌っていた。
それなのに、こんな簡単に自爆の回数を増やせるというのか。
もう、誰からも命令されていないのに。
「どうして……っ、なんでよぉ……」
エミリオが死ぬ必要はなかったはずだ。
ラズやオーチェに相談して、もっと別の解決策を考えることもできた。
――さんざん死にました。慣れてます
死に慣れた、体、思考、命。
(そんなのっ……!)
あってたまるか。
そう、叫びたくなる。
――リーシャ。貴女になら、何度だって殺されてもいいです
エミリオの言葉の数々を思い出して、リーシャの目からボロボロと涙がこぼれた。
思い切り、泣き叫んでしまいたかった。


