自爆しないで旦那様!



***

その後、オーチェと一緒に帰宅し、遅くなった夕食を食べることになったリーシャだが、気分が悪くてほとんど残してしまった。

エミリオのことが気に掛かる。

ラズはまだ戻って来ない。

自室のベッドに横たわり、リーシャは屋敷でのことを思い返していた。

(エミリオが自爆したのは、殺すため……)

前に公園でおこなった自爆とは規模が違った。

辺りを一瞬で火の海にしてしまう威力。

「兵器」の力。

(エミリオは、自分の力を恐れてた……。今なら、わかる。なんでエミリオが、あんなに怖がってたのか……)


――それは貴女が、僕が実際どれ程の破壊力を秘めているか知らないからです……!


彼はそう言っていた。

実際その破壊力を目にしたリーシャは、前より少しだけエミリオを怖いと思う。

けれど、それ以上に悲しくて悔しくて腹が立った。

納得できないのだ。

「あんなに、嫌がってたじゃない……!」


――では、僕も言えば良いんですか?この体が、自爆してきた回数を!!


――僕はそんなのゴメンです


エミリオは「兵器」としての自分を嫌っていた。

それなのに、こんな簡単に自爆の回数を増やせるというのか。

もう、誰からも命令されていないのに。

「どうして……っ、なんでよぉ……」

エミリオが死ぬ必要はなかったはずだ。

ラズやオーチェに相談して、もっと別の解決策を考えることもできた。


――さんざん死にました。慣れてます


死に慣れた、体、思考、命。

(そんなのっ……!)

あってたまるか。

そう、叫びたくなる。


――リーシャ。貴女になら、何度だって殺されてもいいです


エミリオの言葉の数々を思い出して、リーシャの目からボロボロと涙がこぼれた。

思い切り、泣き叫んでしまいたかった。