想いすぎてつい「好き」って言っちゃった。





「うわ、国語の教科書忘れた!しょうがない、教科書借りてくるか……って、授業開始まで後1分もないじゃん!借りれないじゃん……」

 と、私が独り言を言ってると。

「教科書忘れたのか?じゃあ俺の教科書見ればいいじゃん」
「え?いいの?」
「いいよ別に、てか隣の席なんだからいくらでも頼ればいいじゃん!」

 そう言って豊田君はにっと笑った。その言葉と笑顔でドキッとする。

「じゃあ席ひっつけるよ」
「う、うん」

 ガタガタと席を動かし、豊田君は私の席に自身の席をひっつけた。

 今回豊田君と隣の席になって初めてしゃべったけど、毎日少しずつ言葉を交わしていくうちに、だんだん豊田君のことが好きになっていって。

(豊田君と席ひっつけてる~!豊田君がいつもより近い……私のドキドキ音聞こえないよね?!いやそれより、おなかが鳴らないか心配~!)

 ちらっと隣の席を見る。豊田君は机から国語の教科書を出していた。そんな些細な仕草でも、何だかかっこよく見える。

「はぁ~……豊田君めっちゃ好きだな……」

 と、私はそう心の中でポツリと言った──……ってあれ?今私……

 そう思った瞬間。

「……え?今、俺のこと『好き』って言った?」

 豊田君は私の目を見つめながら、そう聴いてきた。

 え……私……今好きって言っちゃったの?え?え?


「えええええええええ!!!!!!????」